- フェミニズムの意味が分からない人
- フェミニズムに疑問を感じている人
- フェミニストにぶちゃけ悪い印象を持っている人
- ジェンダーギャップランキングについて知りたい人
こんにちは、Ayakaです。
今回は、議論がよく起こっているフェミニズムについて書いていきます。
Office Wordで10ページ以上と思ったより長くなってしまったので、第一弾と第二弾に分けることにしました。
- 誤解の多いフェミニズム&フェミニストとは
- フェミニストは嫌われ者?
- 世界ジェンダー・ギャップ報告書 2018年 日本110位
- 2030年までに男女平等達成は不可能
- 平等って何を基準に?
- 近年の動向
- わざわざフェミニストと名乗らない理由
- 日本に必要なのは性教育
- これからの社会
第一弾は8項目中、前半4項目についてです。
誤解の多いフェミニズム&フェミニストとは
フェミニストと名乗る人たち自身もフェミニズムを一部間違えている場合もあるくらいフェミニズムという概念について誤解が多いと感じるので、まずは今回フェミニズムについて書いていくにあたって大前提を整理します。
Googleで「フェミニズム 意味」と検索すると、一番初めに出てきたのは、
女性の社会・政治・法律上の権利拡張を主張する考え方。男女同権論。女権拡張論。
です。
恐らくこの拡張という言葉に違和感や嫌悪感を覚えたり、「拡張」を男性より女性の要望がよく通るようにするのように勘違いしたりする為、フェミニズムに関して延々と議論されているのではないかと思います。
私なりにフェミニズムを言い換えると、
男性でも女性でもトランスジェンダーでも、性別を限定しなくとも、性別を理由に、平等な機会が奪われない権利
です。
ただ、「拡張」と書かれているのは、今までは基本的に、男性だけが持ってきた権利を、女性も対等に持てる社会にするため、建前上平等を謳いつつ実際には平等でない社会を変えるための運動がフェミニズム運動であるからだと思います。
決して女性の権利を拡張するからと言って、男性の権利が奪われるとか、無くされるとか、男性という理由だけで社会的に不利にされるとか、フェミニズムはそういうことを言っているのではありません!
フェミニストはフェミニズムを支持する人のことです。なので、性別だけを理由に平等な機会が奪われない権利を支持する人がフェミニストです。
フェミニストは嫌われ者?
フェミニズムは不快な言葉 by. エマ・ワトソン
画像引用元:https://grist.org/climate-energy/why-emma-watsons-feminist-speech-is-all-about-climate-too/
国連のスピーチでイギリスの俳優エマ・ワトソン言っていて、確かにそうだと思ったことですが、フェミニズムは不快な言葉になってしまいました。
参考記事:https://www.buzzfeed.com/jp/eimiyamamitsu/emma-watson-heforshe-speech
不快な言葉になってしまったというよりもともと少し不快な言葉が近年になって様々な場所でフェミニズムという言葉を目にする・耳にする機会が増え、フェミニズムという言葉の認知が広がったことで更に不快な言葉になってしまったとのだと思います。
フェミニスト同士で対立している場合も
確かに自称フェミニストで、
男性を一括りにした上、
「今まで女性が対等に扱われなかったのは全部あなたたちのせいだ!男性は女性より〇〇ができない!ほらみろこれだから男は・・・。女性の方が男性より素晴らしい!男性は〇〇が分かってない!」
などと一方的に責めるような論調の方、上記のようなことを言っていると受け取られかねないような書き方・言い方をする方が一定数います。
自覚してわざとそのように表現しているのはまだまし?ですが、気付かず無意識のうちにそういった内容を書いてり言っている人はもっとヒドイと思います。
これが本当のフェミニズムだと言われるなら、私は女性としてもそんな概念は要らない!と言うでしょう。
どうしても、強い表現をした方がインパクトがあって拡散されやすいので、上記のような言い方・書き方をする人の内容が目立ちます。
同時にそういった内容はフェミニスト以外はおろかフェミニストからも反発を買いやすいので、フェミニズムから離れていく人がいる、フェミニズムを嫌悪する人がいるのも、残念ながら納得がいきます。
そういった方々のせい(と言ってはなんですが)で、フェミニズムやフェミニストの概念が誤解されたり、嫌われるようになったのでしょう。
初めは穏やかな論調でも、議論がヒートアップしてくると罵り合い、人格否定までするようになっている場合もあるので、正直呆れと怒りの気持ちが沸きます。
フェミニズムを正しく理解してもらい、社会に浸透させていくには、フェミニスト自身が分かりやすく説明していく必要があると思います。
耳をかたむけようとしてくれている人にまで、初めから「コイツはフェミニズムを全然分かってないから私が教えてやろう」「私が言っていることが絶対正しいんだ!」のような上から目線の姿勢でいては、分かってもらえるどころか反感を買って本末転倒です。
現代のフェミニズムが分かりにくい理由
フェミニズム運動の大きな波は2回あったと言われ、第一波では主に19世紀に女性の参政権や高等教育を受ける権利の獲得を目指してきました。
第二波は20世紀、主に第二次世界大戦後始まり、文化的政治的な不平等に対抗した結果、日本でも男女雇用機会均等法などが制定されました。
近年のフェミニズムがわかりにくいのは、法律上は既に男女平等になっているはずなのに現実でそれは達成されていない上、フェミニズムが多様化し、フェミニストたちが各々違う主張をしており、もはや何がフェミニズムなのかの根底すら一致した定義がわからないからなのでしょう。
昔みたいにそんなひどくはない!法律だってきちんとあるんだからもう男女平等だ!昔は男しかしていなかった〇〇が今は女性だってできるのだから男女平等だ!という声もあがっていますよね。
フェミニズムとディズニー映画
エマ・ワトソンが実写版のディズニー映画、美女と野獣に出たのは多くの人がご存知かと思います。
個人的にはフェミニストと名乗る彼女がべル役のオファーを受けたことを意外に感じました。
こちら(ディズニーのお姫様たちをフェミニスト順に並べてみた|BuzzFeed)の記事にあるように、エマ・ワトソンが演じたべルはフェミニストランキングでかなり低い位置にいます。
ディズニー映画の多くで女の子はドレスかスカートを履き、おしとやかで自分の意見をはっきりと主張しません。反対に男の子は、強くたくましく、弱みを見せない、という典型的な"良い”とされていた男女のステレオタイプが王道です。
オチはプリンセスが素敵な男性に拾ってもらってハッピーエンドというパターンが多いですよね。
女の子が男の子に守って欲しいとか、男の子が女の子をリードしてあげたい、という気持ちは否定しません。
でもそれをフェミニストが認めてしまえば、「ほら結局女は自分たちの権利拡張は謳うくせに、男の役目やステレオタイプは変えんのか。我が儘じゃないか」と言われても仕方がないと思ってしまいます。
正直、エマ・ワトソンにはこの役のオファーを断ってほしかったです。
性別によるステレオタイプを無くしていくのもフェミニズム運動の目的の一つであるので、「女性は平等な機会を得るけれども、男性は今まで通り強く“男らしさ”を保ったままでいてよね!」なんて押しつけがましい都合の良いことは許されないと思います。
世界ジェンダー・ギャップ報告書 2018年 日本110位
よくニュースにも上がる世界経済フォーラムの世界ジェンダー・ギャップ報告書ですが、日本は100~110位あたりを毎年うろちょろしています。
順位110位ってどれくらいだろう?と思いますが、2018年の調査対象国は149か国なので、かなり下なことは分かりますし、G7で最下位です。
でも、日本には男女関わらず教育を受ける権利も機会もあるのに、なぜこんな低いのだろう?と疑問に思う方もいるはずです。
それは、断トツに政治分野で女性が活躍していないからです。
ただ、この報告書の指標が変われば多少なりとも順位や評価は変わるはずです。報告書を読み解く上でカギとなる3つのポイントを提示した上で、疑問を呈していきます。
訳は私が勝手につけただけなので、英語が読める方はできるだけ原文で読んでください。
1. Outcomes versus inputs - 結果vs. インプット
The second basic concept underlying the Global Gender Gap Index is that it evaluates countries based on outcomes rather than inputs or means.
世界ジェンダー・ギャップ指数の2つ目の基本的な概念は、インプットや政策よりも結果に基づいて評価している。
引用元:Global Gender Gap Report 2018 - Reports - World Economic Forum
インプットを男女平等に行っても、結果が男:女=50:50と綺麗に均衡にならないのは構わないのではないでしょうか。
日本は、他の多くの国々と同様に、教育の機会が男女関係なくあります。
その上で、脳科学的に、総体で見た場合どうしても男女間で得意不得意な分野が分かれるは仕方がありません。これについては後述します。
自らの意思で選択をした人はこの報告書に反映されていません。
平等にある機会を使っていない場合があります。
したいことがあってそれを成し遂げることができる人は、能力や環境のおかげも無くはないですが、人知れず努力を積み重ねてきた人です。
もちろん、全てがそうだとは言いませんが、結果だけではなくどれだけ平等に機会があるかをもっと重視すべきでしょう。
やっぱり、なんでもかんでも欧州中心主義・白人中心の価値基準だなと思います。
この報告書では、宗教など、日本よりももっと保守的、閉鎖的と言われている国の文化的背景も考慮されていません。
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2. Gender equality vs. women's empowerment - 男女平等 vs. 女性のエンパワーメント
Thus, a country that has higher enrolment for girls rather than boys in secondary school will score equal to a country where boys’ and girls’ enrolment is the same.
-中等学校の女子生徒の在籍数が男子生徒より高い国の方と、女子生徒と男子生徒の比率が同じ国は同等に扱われている。
引用元:Global Gender Gap Report 2018 - Reports - World Economic Forum
ここに書いてあること評価方法は、男子・男性が女子・女性より社会で活躍するのはダメだけど、逆は構わないと捉えられかねません。というか私はそう捉えました。
3.政治的エンパワーメントの評価基準
The Global Gender Gap Index examines the gap between men and women across four fundamental categories (subindexes): Economic Participation and Opportunity, Educational Attainment, Health and Survival and Political Empowerment.
- 世界ジェンダー・ギャップ指数は、性別間の経済的参加度および機会、教育多制度、健康と叡尊、政治的エンパワーメントの4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。
- Political Empowerment: Ratio: females with seats in parliament over male value, Ratio: females at a ministerial level over male value, Ratio: number of years with a female head of state (last 50 years) over male value
- 政治的エンパワーメント:比率:国会における男性議員に対する女性議員、比率:大臣クラスの役職に就いている男性に対する女性の数、比率:国の男性リーダーに対する女性リーダー(過去50年)の在任期間
引用元:Global Gender Gap Report 2018 - Reports - World Economic Forum
政治的エンパワーメントですが、軍事面が評価基準に入っていないのは何故だろううと思いました。今日の政治を語る上で、国の安全保障と軍事面は切っても切り離せません。
確かに相対的に男性の方が女性より力も体力もあります。
しかし、人に寄るので、男性よりも重いものを持ち上げるのが得意な女性、男性よりも走るのが速い女性だっています。
評価基準を全てではなく、特定の部分だけを省いては、本末転倒になってしまうのではないでしょうか。
軍事面と言っても、戦闘で闘うことが全てではありません。
例えば国連が行っているようなPKOだって軍事面というくくりで評価基準に入れることができるはずです。
現在、難民問題がメディアで常に取り上げられていますが、難民キャンプで女性がセクハラやレイプなどの性犯罪に遭ってしまっている現状があります。
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こういった場合にこそ、もっと女性兵士や女性のリーダー、マネージャーなどが必要なのではないでしょうか。
世界には、兵役を課している国があります。ロシア、シンガポール、スイス、韓国などです。しかし、これは男性にのみ。
シンガポールの友人は「本音を言うと兵役は嫌だけど、義務だから仕方ないよ」と言っていました。
韓国の友人は脚に小さな障がいがあり、一般の兵役とは違うかたちで兵役をしたそうです。この場合、率先力だけを考えると、障がいがあって動きづらい男性よりも、走り回れる女性の方が“役に立ち”ますよね。
性別ではなく、適材適所に何故しないのでしょうか。
脚に障がいがある彼は身体ではなく頭脳で貢献できるように、女性だって力持ちの人もいれば、コンピュータ操作が得意な人だっています。
私が兵役のある国に生まれたなら「女は兵役無くていいな」と思っていたことでしょう。この点は日本に生まれてラッキーとしか言いようがありません。
唯一私がパッと思い浮かぶ男性にも女性にも兵役を課している国はイスラエルですが、イスラエルでさえ、女性は2年、男性は3年と基本的に決まっています。
ある大物女優さんがテレビ番組で「戦争時代も日本は男性だけが強制徴兵でした。行きたくなくて自殺で命を落とした若者もいます。当時はとても口になんか出せない、言ってはならないと思っていましたが、正直男に生まれなくて良かったと思っていました」という趣旨の発言をされていたのが印象的でした。
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2030年までに男女平等達成は不可能
個人的に衝撃は受けなかったのですが、こちらのニュース(No country will achieve gender equality by 2030 By CNN)によると2030年までに男女平等を達成できる国はないという調査結果が出ています。
取り合えず、あと最低10年は建前上だけ男女平等の社会が続きそうです。
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東大の挨拶で話題になった上野千鶴子氏の著書
こんなに不愉快な本を書くつもりはなかった。-本文より 日本のフェミニズムを語る上で読まなくてはならないと言っても過言ではない1冊でしょう。 読んだ後どんな不愉快さがあなたを襲うか、お試しあれ。 |
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