こんにちは、Ayakaです。
暑くなってきていますが、いかがお過ごしでしょうか?
ワルシャワ大学にリモート留学中の私は、正式な卒業を9月に控えているのですが、授業と試験は実質6月上旬には全て終了していました。
もうそれから2か月ですか。早いですね。
余談はさておき、記憶が完全に消えてしまう前に、交換留学先のスペインの大学で後期(2020年2月中旬~6月上旬)取っていた授業の課題や試験についてご紹介していきます。
2月中旬に、一時帰国していた日本からスペインへ戻ったものの、3月14日にはスペイン全体が「警戒事態」に入ってしまい、大学のキャンパスも封鎖されてしまったので、後期は完全にオンライン交換留学だったと言っても過言ではありません。
スペインのコロナ渦の様子につい
今回は、オフライン(つまり通常の)授業が行われていた前期の状況との違いも踏まえつつ、私が取っていた科目についてご紹介していけたらと思います。
前期についてはこちら
- International Development Cooperation - 国際開発協力学
- Political challenges in the MENA region - 中東・北アフリカ地域における政治的課題
- Media and International Relations - メディアと国際関係
- Economics and International Policy Issues - 経済学と国際政策問題
- Spanish – スペイン語
- 最後に
International Development Cooperation - 国際開発協力学
国際開発協力学については、ネットにでも様々な解説があるのでそこは割愛するとして、私が授業で実際行ったことをご紹介します。
≪参考≫ 天下の東大 国際協力学専攻ホームページ
授業は基本的に講義形式でした。
ただ、現地学生の必修科目ではなかったため、合計20人程度という講義にしては少ない生徒数で毎回授業が行われていきました。
課題文献は毎授業ごとに出されます。
なので授業までに読んでいないと、質問に答えられなかったり、逆に分かりにくかった点を授業で質問することができません。
教授は優しい方なので、読んでいないからといって怒るようなことはされませんでしたが、予め読んできていないと、授業中にグループで活動する際、グループメンバーに迷惑がかかることもあります。
小さめの課題は、初めの1か月くらいは2週間に1回のペースでありました。
例えばこんなものです。
この動画を見て、彼女は男女不平等の何が社会の発展の抑止力となってしまっているか応えよ。また、彼女の提案する政策はどのようなものか説明せよ。
のような感じで、いくつか質問事項が書いてあり、自分の言葉で解答する課題が中心でした。
一番大きな課題は、コンサルティング会社の立場から、持続可能な開発目標(SDGs)の17ある目標の中から1つの目標と1つの国を選び、その選んだ国の目標に対して、
①目標が設定された2015年から現在までの状況変化を比較し、
②現在の問題点を提示し、
③その問題の改善に向けた政策や取り組みを具体的な根拠を持って提案する
というものでした。
この課題は、基本的に2~3人1組のグループ課題でした。
締め切りが2回あり、1度目の締め切りにはまずドラフトを提出し、教授からフィードバックをもらいました。
フィードバックをもらった上で、グループで協力してレポートを仕上げます。
この課題で終始特に難しいと感じていたのは、③の中の「具体的な根拠を持って」という部分です。
もちろん根拠なしに「こうすべきだ、ああすべきだ」なんて書くことはできないことは頭では分かっていますが、「この政策を取り入れた方が良い!」と思っても、他国の過去の事例を引っ張ってきたり、新しくて正確なデータを持ってきて説明するのは、か・な・り、骨の折れる作業でした。
レポートは書くだけでなく、授業の最終回3回を使って、グループごとにプレゼンテーション形式でクラス全員の前で発表しました。
余談ですが、オンラインのプレゼンだと、発表者は、大勢の視線が注がれていることを直接は感じ取りにくいので、特にあがり症や緊張しいの人は、発表への抵抗感が軽減されるのではないかな、と思いました。
が、実際にオンラインプレゼンをやってみた方は、オフラインと比べてどう感じられたでしょうか?
学期の終盤には、ロールプレイングの課題がありました。
現地政府、現地労働組合、非政府組織、開発協力国などの役割が予め教授から与えられていて、話し合い当日に臨むために事前に準備をしました。
このロールプレイングの課題では「いかにその役になりきれているか」を評価します。これもグループ課題だったので、レポート課題を仕上げたメンバーで1つの役割を担いました。
最終試験は全問題回答の必要な選択式の問題がいくつかと、記述式の問題を3択の中から2つ選んで答える形式でした。
最終試験の問題は、課題文献に書いてあったこと+教授が講義で解説した内容と、ゲストレクチャーとしてオンライン講義をしてくださった世界銀行の元トップ層の方の講義内容から出されました。
この授業は、教授のオンラインへの適応が早く、且つ元々オフラインでするつもりだった内容をオンラインでもほぼそのままできたので、何一つ不自由を感じませんでした。教授に感謝、感謝です。
Political challenges in the MENA region - 中東・北アフリカ地域における政治的課題
私が後期中ず~っと不安だったのはこの科目の成績でした。
というのも、2回あった中間試験で、両方とも私はとことん悪い成績を取っていたからです(泣)
この科目の最終評価は、中間試験(2回合計)30%、グループプレゼンテーション20%、最終レポート50%の合計で決まります。
最終レポートを取り掛かり始めるまでには既に、中間試験2回分とグループプレゼンの結果は分かっていたため、「最終レポートは死に物狂いでやらないと!!!」と思っていました。
と、私の落ちぶれっぷりはどうでもいいのですが、皆さん、MENAって一体何のことだかご存知でしょうか?
MENAはMiddle East and North Africaの頭文字4つを取り、中東と北アフリカ地域を意味する言葉なんです。
「中東ってどの国々が入るの?」「北アフリカってどこからどこまで?」という疑問には、一番最初の授業で教授が解説してくださりました。
ただ、私も明確な答えをお伝えできなくて申し訳ないのですが、「中東地域や北アフリカ地域は、時代や政治的な理由から今までの歴史上何度も変わっている上、現代でもそれぞれどこにどんな指標を置くかで答えは変わってくる」というのが端的な答えになってしまいます。
日本で生まれ育つと、中東や北アフリカ地域については、あまり良い印象を持っていなかったり、そもそもどんな国がある所なのか分からない、というのが本音である人が多いのではないかと思います。
私ももちろんその一人で、授業が始まる前までは「エジプトはラクダとピラミッドで欧州からの観光客を呼び寄せてるなんだかエキゾチックな所だし、中東はシリアとかイラクとか色んな所で紛争ばっか起こっててカオスな所~。あとそうそうオイルがいっぱい取れるところだよね」みたいなことしか思っていませんでした。
授業を受け終わった今でも分かっていないことだらけですが、それでもこの需要で学んだことは今後、文献を読んだり、ニュースを見て理解する時に絶対に役に立ちます。
MENAは2010年後半辺りから、新たなスタートアップ市場として世界中から注目されています。
≪参考≫
→世界が注目する中東・北アフリカ地域MENAの経済成長とサービス | SmartDrive Magazine
→「中東・北アフリカのIoTは世界2位の勢いで成長」、GSMAのMENA移動通信調査 | 日経クロステック(xTECH)
→スタートアップが成長中のMENA(中東・北アフリカ)、注目される都市やエコシステムの概要 – BRIDGE(ブリッジ)
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この授業では外交関係を含め政治面について学ぶ内容だったので、MENAのスタートアップについては触れられませんでしたが、後者の観点から注目してみても面白いですね。
Media and International Relations - メディアと国際関係
メディアと一口に言っても、今は色んな種類がありますよね。
マスメディアを代表するテレビ、新聞、映画やラジオ、英語ではa news agencyと言われる通信社、そして新しいタイプのメディアであるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など。
この授業では、戦時中の映画やアニメを使ったプロパガンダから、2016年アメリカ合衆国大統領選挙にも大きな影響を及ぼしたSNSまで、大衆にも国際関係にも莫大な影響力のあるメディアについて、国際関係との繋がりを終始保って学びました。
ほぼ毎週グループごとに課題をこなさなければならず、それだけで休日のどちらかが潰れることは多々ありました。
課題内容はある文献(ネット記事や動画など)を読み、教授が用意した質問6~8個(週によって数が違う)に答えるものです。
質問1は毎回決まっていて、「この文献の筆者は誰か」でした。
もちろんその筆者の名前だけ書けばよいのではなく、
ネットの情報を駆使し、どの大学の何学部を卒業し、どこの新聞社・団体でどれくらいの期間働いているのか、その前は何をしていたのかなど、その筆者に関して、ありとあらゆる情報をまとめます。
警戒事態宣言が出されなければ、調べた内容を毎回クラス全員の前でプレゼンしなければなりませんでした。
結局そのグループプレゼンは2回か3回したところで、キャンパスの封鎖になり、それ以後は、質問の解答をまとめたファイルとプレゼンのスライドを教授に提出しました。
オンラインでのプレゼンはしませんでした。
教授は、テーマごとに講義を進めていましたが、警戒事態宣言発令後の4回目以降の講義は、スライドショーと共に音声を録音し、それを生徒が好きな時に見る方式に変わりました。
ただ、好きな時と言っても、録音が届いてから1週間以内に見なければロックがかかってしまい、教授から「あなたまだ講義聞いてないですよね?次同じことやったら評価から数点引きますよ」というメールが届くようになっています。
私自身一度見忘れてしまったことがあり、そのメールが届いたため、「ごめんなさい。以後気を付けます」と教授に伝え、ロックを解除してもらったことが一度ありました。
評価の仕方は2通りで、どちらか好きな方を選ぶことができました。
グループプレゼンで積み重ねた得点+個人レポート課題の得点
or
最終試験1回のみ
の2通りでした。
個人レポート課題の評価が返ってきてすぐ、どちらの方法で最終評価にしてほしいのかを教授に伝える必要がありました。
個人レポート課題は、調査内容も調査方法も自らが決めるもので、条件は字数制限と国際関係との繋がりを明確に示すことでした。
Economics and International Policy Issues - 経済学と国際政策問題
この科目は教授が3人おり、三者三様にテーマを持ってカリキュラムを組んでくださっていたので、オンライン授業が始まるまでに他の科目よりも少し時間がかかりました。
1人の教授はEUの機関や意思決定プロセス、EUに関わる条約、EUが現在抱える問題についてを担当。この教授の授業は全て、警戒事態宣言前に終了していました。
別の教授2人からは別々に、校内の売店で購入した課題図書に沿って、科目名の通り経済学と国政政策問題について課題を出されました。
課題図書の中のテーマは、石油と政治の関係、アメリカと中国の貿易戦争、労働生産性と比較優位などで、基礎を学びつつ、歴史上、若しくは、現代の国際関係上の問題と絡めながら学んでいきました。
質問に答える小さな課題(と言っても数時間かかる)はほぼ毎週あったので,、正確には数え切れず、プレゼンのスライドも1回分自分で用意しなければならず、結構大変でしたが、特に文献を読み込む力と論理的に書く力が伸びたと思います。
ただ、オンラインで一度も講義が無かったのは残念でした。
私の専攻は国際関係学ですが、実はこの科目は経済学部から取りました。
というのも、私の交換留学先であったデウスト大学は、スペインで最初のビジネススクールであるデウストビジネススクールがあり、経済学や経営学は国内外から特に高い評価を得ています。
≪デウストビジネススクールのHP≫ Business School | Deusto
私は政治学を中心に学んでいたこともあり、経済面には弱いと感じていたので、せっかくなら高評価を得ている経済学部でも授業を取ってみたいと思いました。
最終試験は3人の教授からそれぞれ1問ずつ出され、論述式で解答しました。
今回の欧州での新型コロナウイルス感染拡大と絡めた問いもありました。もちろん習った論理を用いて解答しなければなりません。
Spanish – スペイン語
言語科目も前期に引き続きスペイン語を取りました。
せっかく現地にいるので習得したいですし、卒業するのに第三言語で最低B1を取らなければならないので、対策もしないといけません。
オンラインになると、インタラクションの必要な言語科目の授業の難しさが際立ちました。
例えば、通信の悪い環境にいる生徒はどうしても発言しづらくなりますし、オフラインの時と同じスピードでのやり取りはかなり難しかったです。
オンライン授業が始まって最初の頃は「皆顔見せて~!」と教授が叫んでいましたが(笑)
慣れてくると、全員が最初から顔をカメラに映すようになりました。
オンラインでも、作文テストは2回実施されましたが、最終試験はどう考えてもカンニングできてしまうため、口頭試験に切り替えられました。
なので、最終評価は、2回の作文テスト+授業への参加態度+口頭試験の3要素で決まりました。
授業への参加態度というのは、ほぼ毎授業で行ったミニプレゼンテーションでどれだけ準備をしていたか、発言していたか、が評価されました。
最後に
この後期のオンライン交換留学を今振り返ると、常に何か読んでいたな~と思います。
スペイン語以外は何かしらの記述式の課題が常にあり、そのために与えられた文献や自分で調べた情報を読み込む必要がありました。
留学生活最後の学期を、スペインで、しかもオンライン形式で経験できて良かったな、と思います。
また夏季休暇明けには、日本では2学期が、その他多くの国では新学期が始まりますよね。
オンラインだからと手を抜かずに、目の前のすべきことを精一杯することが大事かと考えます。特に留学している生徒は!
もう学校での授業も以前と全く同じには戻らないのかもしれませんが、それはそれで新しい学び体制に慣れていく良い機会だと思います。
勉強していて困ることはありません。
どんな時でも、貪欲に学ぶ姿勢を保っていたいですね。
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