- ポーランドの政治について知りたい人
- ポーランドの若者の意見を聞いてみたい人
こんにちは、Ayakaです。
前回に引き続き、2019年10月13日に投票が行われた、ポーランドの議会選挙ネタ第2弾です。
まだ、第1弾を読んでない方は、先に読んでいただいた方が分かりやすい(説明を端折っている部分がある為)と思いますので、先に▼こちらを拝読ください!
今回のインタビュー回答者は19年9月から日本に留学中のBです!
第1弾で回答してくれたAに聞いたことも踏まえて、質問をぶつけてみました!
法と正義(与党)の勝利について
ー今回の選挙は投票に行った?もし行かなかっとしたら、その理由も教えてもらえる?
今回は、残念ながら投票していないの。
選挙当日も今(インタビュー時)も、ポーランドにいないし、在外投票の会場が、現在住んでいる所から一番近くてもバスで8時間かかる所にあるし・・・。
正直、その日は天気も悪かったし、8時間もかけて投票へ行く価値があるとは思えなかったの。
ー選挙結果についてはどう思った?
熱心にニュースを追っていたけど、結果は選挙前から予想がついていたわ。
ーBにとって全く予想外なことは起こらなかった?
ぜ~んぜん。法と正義が勝つことはサプライズでもなんでもないわ。
ポーランドには、カトリック教を熱心に信仰する人と保守的な考えの人が本当に多いの。
アメリカ合衆国みたいに、エキスパートが沢山いるような政治でもないしね。
ーポーランドにいたら、投票に行ってた?
ええ、絶対に投票へ行っていたわ。それか、在外投票できる会場が住んでいる所の近くにあったらね!
法と正義(与党)の政策について
画像引用元:Law and Justice - Wikipedia
ー選挙前の政府についてはどう思ってた?
最悪よ!
私は、保守的な考え、古い考え、右寄りの考えに反対だから。
実は、前回の選挙の時も投票に行かなかったから、何か言う権利はないかもしれないけれど・・・。
ーBが法と正義の政策が大嫌いなのはよくわかったけど(笑)、特にネガティブな要素は何だったの?
教育制度を変えて、小学校の後に高校へ進学する方針へ変えたり、中絶を完全に非合法化しようと試みたり、性教育を無くしてしまったことね。
ー反対に、ポジティブに評価できる政策はあった?
そうね、500+に助けられた家庭があるだろうから、そこは評価できるかな。特定の女性を金銭的に支援することになるし、例えばシングルマザーとか。
もちろん、全体としては、資金を500+にあてないといけないから、他の政策への資金は削られてしまうけど・・・。
今までは、第二子以降から500ズウォティ(約15000円)の支給で、3人なら1000ズウォティ(約30000円)という政策だったけど、
法律が改正されれば、確か、第一子から500ズウォティ支給に変わるはずよ。
この政策を始めた最初の年は、上手くいっていたわ。例年より多くの子どもが生まれたし。
だけど、2年目から出生率は下がっていったの。
だから結局のところ、この政策が上手くいったかどうかを、きちんと判断することは、まだできないわね。
ー(先にインタビューを受けてくれた)Aが言っていて興味深いなと思ったのが、法と正義の政治家にはカリスマ的な存在がいるってことなのだけど、これについては同意する?
個人的に、カチンスキ氏(法と正義の党首)は全然カリスマ的だと思わないけど、彼はチャーミングな一面があって、特に、お年を召した有権者への訴えかけが上手なんだよね。
ヤロスワフ・カチンスキ氏
画像引用元:Poland's populist Law and Justice party win second term in power | World news | The Guardian
だから、年代がかなり上の有権者にとっては、彼はカリスマ的な存在なのかもしれないわ。
あと、車の後ろに堂々と乗ってる時の写真とかが格好良く見えたりとかね(笑)
The Left(野党)の躍進について
ー法と正義(与党)と市民プラットフォーム(最大野党)が両方、前回の選挙より議席数が減ったのだけど、The Leftは議席数をかなり伸ばしたんだよね。Bはどう思う?そして、なぜだと思う?
私の政治的立場はかなり左寄りだから、正直この結果は嬉しいわ。
そもそも政治にあまり興味がないから詳しくはないけど、私が考える理由は2つね。
まず1つ目は、より多くの若い世代が投票したことではないかな。
彼らの心情としては、法と正義主導の政府にかなりうんざりしたんじゃないかな。
法と正義は、自分たちの意見を取り入れてくれていない、自分たちを代表するような政治家たちではないってね。
もう1つの理由は、若い世代は環境問題を非常に懸念していて、左寄りの政党の中に、環境問題に取り組もうとしている政党があったからではないかな。
若者の中には、政党が環境問題にどう取り組むかだけを基準に投票先を選んだ人もいるくらい、環境問題について考えているの。
合わせて読みたい
ー法と正義は、ポーランド人のアイデンティティの焦点を、どこに当てるかに結構必死になっているけど、若者はそういうこととは全く違う価値基準を持っているのかな?
例えば、第二次世界大戦中・後のポーランドの歴史や、カトリック教の教えなど、保守的な政党はそういうことを大事にしようとしているから・・・。
若い人々は、今議論が再熱している、性教育を徹底的に排除して、行った場合には罰を与えるという法律に本当にうんざりしているわ。
5年刑務所行きになる可能性だってあるのよ、もし法案が通れば。
挙げればきりがないけど、こういった実態があって、若者の多くは、この政権は自分たちに何のメリットも無いと強く思うようになったのではないかと考察するわ。
だから、若い世代の投票率が上がって、左派の議席が伸びたのではないかな。
母国・ポーランドの将来について
ー今回の選挙結果を受けて、今後の政権には何を期待する?
あ~もう、ハッキリ言うとね、この国をもっとめちゃくちゃにすると思うわ!(笑)
実はね、今のポーランドが嫌いで国外へ移住した人だっているし、今後も国外移住する人の数は増えると思う。
実は、私の周りだけでも、国外移住を本気で計画している友人が何人もいるの。
私もそのうちの1人よ!
ー個人的に、自身の生活が政府の政策によって脅かされていると感じる?
私の生活自体は大丈夫。別に大きな懸念がある訳ではないわ。
でも、私の親友が2人とも異性愛者ではないのだけど、そのうちの1人は特に危機感を抱いているわね。
自身が同性愛者であることを以前ほど公にしなくなったわ。
着ている衣類からも同性愛者だと悟られないように、気を遣っているみたいだし・・・。
カトリック教の教えに反すること、政権の保守的な考えから外れた行動は危険が伴うと感じるみたいね。
オンライン上で同性愛者であることをオープンにすることには抵抗がないらしいけど、公共の場で、自分が同性に魅力を感じていると悟られるような行為は慎むらしいわ。
ーBは他国への移住を既に検討中とのことだけど、今後のポーランドの政府や政治家にはどういったことを期待する?
ある日起きたら突然、ポーランドが変わってるってことは、もちろんあり得ないけど、徐々に徐々にリベラルな考えに近づいていくことを願うしかないわ。
取りあえずまずは、主導する政権が変わることが必要不可欠だと思う。
でも、経済が一気に破綻するとか、右派政権が大きな失態をやらかすとか、大きな出来事がなければ当分は変わらないでしょうね。
私たちのように、若い世代の中には他国へ出ていってしまう人々だっているから・・・。
私は今ポーランドにいない(留学中)けど、国としてのポーランドを恋しいとは全く感じないわ。
ポーランドにいる友人たちを恋しく思うことはあるけど、彼ら・彼女らがそこを出ていけば、もうポーランドへ帰る理由は無くなるね。
ただ、他国へ住んでみて、やっぱり母国であるポーランドが自分に一番合うとなれば、ポーランドへ戻ってくる可能性もあるわ。
最後に
AとBは政治的立場がかなり近かったので、2人とも指摘するポイントはほぼ同じでした。
やはり、外国人である私のような者に、オープンに政治について話してくれる人となると、リベラルな思考の人の方が多いのかもしれません。
2人同時に(私を入れると3人)インタビューをすれば、また少し違った話が聞けた可能性もあります。
もし、与党の政策をかなり支持しているポーランド人がいれば、話を詳しく聞いてみたいですが、本心はそう簡単に打ち明けない可能性もありますね。
2人の話を聞いていると、ところどころ日本の話をしているのかと思うほど、日本と状況が似ている点がありました。
私が2年間お世話になったポーランドにしろ、生まれ育った日本にしろ、世界のどこかの国にしろ、いつか自分に一番しっくりくる場所で自由に生きることができたらいいなと思います。
もちろん、簡単なことではないですが。
皆さんは、日本の政治についてどう思っていますか?
日本は将来どんな国になってほしいですか?
また、どんな国にしたいですか?
長い長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。