こんにちは、Ayakaです。
ポーランドのタブーに切り込む今シリーズの最終章です。
前編と中編がまだの方は先に読んでから戻ってくると、話が分かりやすいと思います。
後編は、ポーランドでのあらゆる差別についてです!
カットには、私がどうしても聞いてみたかったルッキズム(容姿差別)について、ポーランドの状況とカット自身の体験も含め、予め考えておいてもらうようにお願いしていました。
ポーランドでのルッキズムについて
ールッキズムとは何か知ってた?調べてみた?
ええ、あなた(筆者)に言われてまずはググってみたわ。韓国の漫画かアニメーションかが元になっているみたいね。それについては詳しくは調べなかったけど、辞書でも調べてみたわ。
ルッキズムとは容姿によって人を差別するっていう定義でいいよね?
ーポーランドで容姿差別はよく行われている?
ええ、とても頻繁に行われているわ。
ー性別関係なく男性に対しても女性に対しても?
ええ、そうね。
「それは良くないわ」「外見で判断すべきじゃないよ」って言うのは簡単よ。
ポーランド語には“Nie oceniaj książki po okładce”―「カバーで本を判断するな」ということわざのような言葉があるしね。
ただ、私も外見で人を判断してしまうことが多々あると言いざるを得ないわ。だって、話す前は視覚でしか判断しようがないでしょ?
外見はその人を始めに知る上でかなり重要な要素だわね、少なくともポーランドでは。
でも確かに、その人に「こうであってほしい・あるべきだ」っていうイメージをその人以外が勝手に組み立てて押し付けることはダメね。
容姿差別が始まる瞬間は、その人を外見だけで判断した時ね。これが問題だと思うわ。
外見を見てある印象を抱く、これは仕方がない。でも、実際の人物像は初めの印象と違うにも関わらず、勝手に同じ印象を押し付けているとしたら、それが容姿差別よ。
その人の性格、考え、能力など外見以外の要素を取り入れて判断していない、それは容姿差別。
ポーランドには「太っている人は馬鹿だ」みたいな風潮があるんだけど、仮にその人が太っていたとして、正しいことを言っているのに「太っているから」という理由だけで否定してしまうのは明らかな容姿差別ね。
これは女性差別と近い部分があると言いざるを得ないわ。
ー確かに。男性に「あなたは女性だから知らない」って言われたことあるの。私は生理の話する時ですら「男だから」なんて言わないのに
そうね。もちろん男性全員がそうではないけどね。
ポーランド人大学生のルッキズム体験
ーカットが個人的にルッキズムを感じたことはある?
人生で思い返せばルッキズムを感じなかったことがないわ。私の人生はルッキズムと切っても切り離せないわね。
ーどうして?
私の体型って誰から見ても「細い」部類には入らないのね。
ー「細い」=魅力的とは限らないわよ
それにはもちろん私も賛成よ。でも、社会の風潮がまだまだ細い方が良いみたいな感じなの、少なくともポーランドではね。日本はその風潮がもっと強いと思うけどね・・・。
話を戻すけど、私はグラマラスな体型な上、可愛い系の顔立ちだからそこでも私に対して固定観念で判断がされているなって感じることはしょっちゅうよ。
特に男性が私に何を求めているのかがすぐに分かってしまって嫌気がさすこともあるわ。
ルッキズム経験者からひと言
ポーランドではルッキズムがそもそも大きな話題になっていないと思うわ。私もあなた(筆者)に聞かれるまで深く考えたことがなかったし。
不快だけど、その不快感にもう慣れてしまったのね。
容姿だけで判断することも、されることも多くの人が心地よいとは思ってないはずよ。でもそれが今のポーランド社会では当たり前なの。
ただ、私も今回こうやって話してみてもっと考えるべきだと思ったわ。その人に対して初め抱いていたネガティブな印象が、話しているうちに変わったと気づいた瞬間を見逃さないようにするのが良いスタートかもね。
私は子どもが嫌い。何が悪いの?
ーカットは以前「私は子どもを産まないつもり」と教えてくれたけど、それはなぜ?いつ決めたの?
決めたというより、そもそも生まれてから一度も子どもを欲しいと思ったことがないんだよね。
確実に「私は子どもが欲しくない」と思ったのは、姪っ子が産まれた時ね。私が17歳の時。子どもと時間を過ごすのも、触るのも嫌だなって気づいたの。
ー「まだ若いんだからそのうち気が変わるわよ」って言ってくる人もいるよね。そういう時はどう対応してる?
どれだけ私が若くても歳を重ねても、そうやって言ってくる人は必ずいるの。私の年齢は関係ないわ。
私が女だからそうやって言ってくるだけ。そういう人たちは、女性は子どもが欲しいと思って当たり前、と思っているからね。
もう言い返すのが面倒くさいから「かもね。」とか言って適当に聞き流してるわ。
他にも、「なんですって?」「将来どうするの?」「誰があなたの面倒を見るの?」とか言われて、大概ネガティブな反応をされるわ。
ーなんで子どもに面倒見てもらわなきゃいけないの?って感じだけど・・・。
あまりにもしつこく言われた時の為に、「私が子どもを要らない理由リスト」みたいなの用意してあるの(笑)
ー男性なら同じこと言われないけどね。
そうそう、その通り!
逆に、男性への固定概念も未だ根強く、良い家と車を買って、息子を大切にするのが良き男性像だと思っている人もいるわ。
ポーランドは今日も男性優位・男性中心的な社会だから、男性は家族を持って仕事をバリバリこなして、家事を女性にさせるのが良いと思っている人も少なくはないわ。
そういった考えの人が中年以降の男性に多いのは世界共通だと思うけど。
興味深いのは、私の知る限りだけど、ポーランドで本当の意味で子育てをしている男性は宗教への信仰心が高いのが特徴なの。
私の兄は、「手伝ってますよ」程度ではなく、本当の意味で子育てをしている男性なのだけど、強いカトリック教信者なの。きっと、良い夫・父は家族を大事にする男性だという教えの影響なのでしょうね。
ーカットはカトリック教徒ではないの?
違うよ。
生まれた時に洗礼を受けたり、家族に連れられて教会の行事に参加してきたから、国勢調査などの統計で私はカトリック教徒としてカウントされるのだけど、考えは無神論者にかなり近いわ。
だからと言ってカトリック教徒の友人と喧嘩とかするわけでもないわよ!
ー将来はポーランドに住み続けるつもり?
ううん。今のところはカナダかニュージーランド辺りに移住しようかなと思ってる。とにかく、ポーランドではないどこか(笑)
ーどうして?
ポーランドは私に合わないのよ。既に話してきたように、私が女性だからという理由もなくはないわ。
カナダかニュージーランドを考えてるのは、他国に比べて割と外国人にも寛容なことと、私の英語力ならそこでも生活していけるだろうなってことが理由ね。
ポーランドは出身地でも育った場所でもあるから、ここに私の故郷があることは永遠に変わらない。
離れたらポーランド料理も恋しくなるでしょうしね(笑) だからと言って好きでいる必要はないのよ。
ー最後に読んでくださった方々へメッセージを!
人を傷つけない限り、好きなこと・ものを追い求めていいと思うわ。あなたはあなた、それは一生変わらないから!
お断り
本記事に記載している内容はあくまで一個人の意見です。全員の意見を必ずしも反映しているわけではないことをご了承ください。