こんにちは、Ayakaです。
筆者は、帰国後の14日間の隔離生活が終了し、田舎の実家に帰ってきています。
ただ、感染拡大の大きかったスペインにいた身から見ると驚きの光景を日々目の当たりにし、心配している日々です。
昨日はとあるお店でソーシャルディスタンスを保たず、マスクすらしていないご高齢の方々がお話をされているのを見て、一人心の中であわわあわわしておりました。
まぁそれだけ日本の田舎では被害が抑えられているということでしょう。
今回は、筆者が1年前まで住んでいたポーランドのコロナ禍の様子が気になり、以前もインタビューに応じてくれたカット(Kat)に話を聞いてみました。
彼女は12月に、短期留学していた日本からポーランドへ帰国し、1月からポーランド国内で職探しを始め、2月からとある会社のPR担当者として働いています。
今回のインタビューには、ポーランドの若者の就職事情に関する話も出てきます。
ポーランドの新卒の就職事情に関する記事は▼こちら
になりますので、是非ご拝読ください!
状況が一変したポーランドの3か月間
―カット、毎回インタビュー引き受けてくれてありがとう!
早速だけどポーランド、中でもカットのいるワルシャワとワルシャワ郊外の現状を教えてほしい。
3月4日にポーランドで初の感染者が確認されたんだけど、政府は3月15日には国境を閉鎖したんだよね。
今(6月20日)はもう国内での制限が緩和され始めて1ヶ月ほど経ってるから、「もうオフィスに戻って来て~」って言ってる会社もあるけど、私の働いている会社は違う。
私の会社の自慢話みたいになっちゃうけど、私ところは自由にさせていてくれて、オフィスへ行ってもいいし、継続して家から働いてもOK。
ただ、オフィスへ行くことは推奨されてはいないわ。
私の会社は政府が国境を閉鎖すると決める2~3日前には家から働くように方針が変えられていたし、素早く対応できていたね。
―街中でのマスクの着用率とか、コロナが流行る前との社会の変化はどう?
1か月前くらいからロックダウンの制限が緩和され始めたんだけど、今は全員がマスクを着用しているわけではないわね。
―スーパーとか入るのにマスク着用義務はないの?
法で決められてるかは分からないんだけど、2メートル内に他人がいなければつけてなくても大丈夫。
但し、「2メートル?楽勝よ!私はそんなに人に近づかないから」って過信している人もいるね。結局2メートル以内で人とすれ違うことはあるのに・・・。
―政府は他にどんな対策を取った?
ショッピングモール等が閉鎖されたのはもちろん、公共交通機関も暫くは止められていたし、ソーシャルディスタンスを保った必要最低限の外出だけが許されていたわ。
スーパーについては、レジ1台につき3人まで、というルールがあったから、例えばレジが6台の場合、最大で18人しかスーパーに入れなかった。
だからスーパーに入るためだけに15~30分待つことはしょっちゅうだったわ。
もちろんそれはルールだから、そこに関して文句を言う人はいなかったけど、私からするとちょっと迷惑な人もいたわ。
あと、公園と森へ立ち入り禁止になったんだけど、その理由が、ソーシャルディスタンスとか全く気にも留めていない人たちが隠れて密になっていたからなの。
閉鎖されるようになってからは、軍や警察が監視して取り締まってた。
私の同僚の1人が犬の散歩のために公園に行ったんだけど、彼女は公園内にいた警察に追い出されてしまったと聞いたわ。
ちょっと勝手だな、と思ったのは、閉鎖されてるのに子どもを公園とか、外に連れて出歩く親たちね。
―公園が無理ならどこで犬を散歩させてあげるの?その辺の通りだけ?
※ポーランドの都市部はペットを散歩させる道がどこにでもある訳ではないので、大きな公園を利用されている飼い主さんが多くいます。
分かんない(笑) ここはポーランドだから全部日本のように上手くはいかないわよ!
ただ、犬を外出する言い訳に使ってる人はいたよ。
外に出るために近所の人に犬を貸してるって話も聞いたし。
これはスペインとかイタリアでもあったはず。このせいで罰金を取られた人がいたことをニュースで見たから。
―そうだね(笑)ヨーロッパでの新しいサービスかも。
ただ、犬が「なんで僕/私は最近いつも以上に歩かされてんの?」って感じてくるでしょうね(笑)
この『犬貸しサービス』に関してはネット上でたくさんのジョークが手回ってるわ。
―オフィスでの勤務を再開するところが増えているなら、公共交通機関を使う人が増えたよね?
そうね。
私自身はまだ家で働いているから、それほど公共交通機関を使うことは無いんだけど、昨日数か月ぶりに初めてオフィスを訪ねたの。
郊外からワルシャワ市内へ向かう電車に関してはそれほど混んでいなかった。
ただ、市内のバスやトラムの混雑ぶりは最悪だって聞いてる。
ソーシャルディスタンスを取ろうと思っても、そもそも気にしていない人があまりにも多いし、物理的に無理だっていう理由もある。
本数が前より増やされたわけではないのに、人々は仕事へ行かなくてもいけないからね。
あなた(筆者)よく知ってるでしょ?ポーランド政府がどれほど賢いか(苦笑)
—(笑)
▼参考:ポーランドの政治について
私は今回の状況を真剣に捉えていて、3月12日以降、スーパーへ行く以外の用事で、5回しか外出していないわ。
でも、残念ながら何も考えずに行動している人もいるよね。
「あなたバカなの!?」って思ってしまったのは、ドラッグストアとかにあるメイクコーナーで「メイクしてください」って言ってた人ね。
そういう人は、Global Pandemicの意味がきちんと分かっていないんだろうね。
―ショッピングモールももう開いてるのか。制限が緩和されつつあるし。
再開してからショッピングモールへ行ってみたけど、開いていない店もまだまだあった。
手袋を付けて入らないといけない店もあったわ。
あと、カフェでは他人とは間を空けて座らないといけない。
レストランとかはロックダウン中はデリバリーとテイクアウトだけだったから、中では食べれなかった。
今は国境の閉鎖も解除されたから理論上は他の国からもポーランドへ入ってこれるけど、皆もちろん気を付けるでしょうね。
政府の対応に対する世間の反応
―今回のCovid-19に関する政府の対応への人々の反応はどう?
意見が分かれたわね。
一部には政府の陰謀説を信じてる人もいて、「政府がは人々がどれだけ耐えられるかを実験してるんだ」とか言ってるわ。
あとは、「コロナにかかった人と接触があったか分かる」と言われるアプリが政府機関によって開発されたんだけど、まさかの内部技術者から「政府はあなたがどこにいるか追跡できてしまうから利用するのは安全ではない」と危険信号が出されたわ。
▶参考外部記事:
・ポーランド、「自宅隔離」アプリ開発 位置情報と顔認証で当局が在宅確認 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
・Poland's coronavirus app offers playbook for other governments|POLITICO
・Poland is making its citizens use a 'selfie' app during the coronavirus crisis|ABC News
ああ、さすがポーランド(苦笑)
問題は他にもあって、大事な選挙が5月頭に行われたんだけど、政府は何故か延期したがらなかったの。
だから、郵便局へ行ってポスト投函しないといけなくて、「2020年なのにまだオンラインでできないわけ!?」と文句が言いたくなったわ。
選挙についてもっと問題なのは、どこの郵便局から来たか分かってしまうから、完全な匿名性が保たれていないことね。
▶参考外部記事:コロナ禍で「投票者数ゼロ」 異例のポーランド大統領選 やり直しへ:時事ドットコム
ロックダウンはもちろん身体的健康には良いけど、心理的健康や経済にはよくないわね。経済なんて既にボロボロだし。
若い世代への影響
―学生や若者にはポーランドではどんな影響があった?
(日本でいう)小・中学校は全くと言っていいほど準備も体制も整っていなかったわ。
テレビ放送を使ってまで教育プログラムを流したんだけど、その内容もクオリティも低かったの。
そのせいもあって、親が結構問題を抱えてた。
私の義理の姉は主婦として家にいるからまだマシだったんだけど、両親とも働いている家庭はの負の影響は大きかったわ。
マトゥラ(高校卒業時に受ける、日本でいうセンター試験のようなテスト)が、1か月前くらいに、オンラインではなく、オフラインで行われたのは知ってる。
席を離すとか対策が取られたのかもしれないけど、そこまで詳しいことはチェックしてないや。
大学に関しては、少なくとも公立の大学は全て閉鎖されて、学生課オフィスや図書館ももちろん閉められたわ。
今はAdministrationオフィスが少しずつ再開されているけど、次学期も全てオンラインになるんじゃないかって話が出てる。
―もちろん今学期の卒論のdefenseもオンラインでされることが既に決まってるわ。だから私日本にいれるんだけど。
この状況のせいで、私は卒論をちょっと延期してる。
9月に卒業する予定だったんだけど、12月に留学から帰ってきて、今度はこのコロナが来ちゃったから、先行きに明確な見通しが立たない。
修士課程に進みたいから、2021年9月までには何が何でも卒業しないといけないんだけどね。
—雇用市場はどうなってる?これから卒業を控える学生も沢山いるけど。
雇用状況は結構危機的ね。端的に言うと、Shitty。
例えば、私の会社でも、今のところ新しい人を雇うことはしない方針だわ。
―インターンも雇わない?
インターンも取らないわ。
経済だってもちろん大打撃だし、人々が職を得るのに苦労してる。クライシスと言えるわね。
政府は職を失った人たちへのサポートを試みたはずだけど…。
試みた「はず」って言ってるのは、実際どんなサポートがされたか知らないから。
政府が給付金を出した会社もあるのは知ってるけど、「十分ではない」とか批判は上がってるよ。
―お金はね…。平等に配当するのって結構難しいよね。何を持って平等かもわからないし。
カフェでバイトしてる友だちがいるんだけど、政府の方針によると、カフェが閉まってた間の給料は支払わなければならないんだよね。
でも、4、5月の分は6月になってから支払われたらしいの。
これってさ、もし彼女が生徒ではなくて、フルタイムで唯一の収入源として頼って働いてたら、4、5月は収入が全くない状態で過ごしてたことになるんだよね。
だから、この遅さに関しては結構怒っている人が多い。
他の例で言うと、会社のマネージャークラスのポジションについている人がいたんだけど、彼女は働き方に少し疲れていたから、仕事を辞めて、半年海外に行く予定でいたのね。
だけどこんな状況になってしまって、彼女の飛行機が飛び立つ1週間前にフライトがキャンセルされてしまったの。
彼女は素晴らしい職歴があるにもかかわらず、仕事を辞めてから4ヵ月経った今でもまだ新たな仕事に就けていないの。
―そんな状況なら、卒業したばかりの人には無理があるわ。
そうね。だから私は本当に本当に本当にラッキーだったと思ってる。
私は、色々な面で国が大打撃を受ける前に仕事を得ることができたけど、それでも職探しは大変だったから、今困難に直面してる若い人にはとても同情するわ。
友人の何人かは、ショップでのレジ係とかでも探してる。
―大学卒という学歴があっても?
そうね。
だから、詳しい統計は知らないけど、状況はかなり暗く見えているわ。
▶参考外部記事:
・ポーランドの失業率、5月は6%に悪化 - NNA EUROPE・ポーランド・マクロ・統計・その他経済
実はIT先進国!ポーランドでのITリモートワーク
―家からのリモートワークはどう?
ただ働く場所が変わったってだけで、オフィスと大差無いって感じてる。
―お、それは良いね!
うん。
でも友だちの中には「家で過ごすのが嫌になってきた」って言ってる子もいるよ。
―家で働くことはすごく良いと思うんだけど、問題は、人によっては寂しさを感じたり、ストレスを抱えることだよね。それは一切なかった?
ま~ったく!むしろ、私にはその逆が起こったわ。
一応兄家族と住んでるから1人ではないのね、だから厳密に言うともっと完全に一人になりたかった(笑)
ただ、別の意味で、このWork from Homeの被害者にもなったわ。
だって、友だちにその状況に耐えられない子がいて、い~っつも電話してきたんだから。もうかなわないわよ…。
正直言うとそれに関してはちょっとうざったかった。
だって、私は仕事してる13時にいきなり電話をかけてきて「ねぇ~、ちょっと話したい」みたいなことを言ってきたんだから。
こっちからしたら「私仕事してるんだけど、あなた何やってるの!?」って感じだったわ。
今回の一件で、オフィスで実はそんな生産的な仕事をしてなくて、働いているように見せかけている人が明らかになったんだよね(笑)
パソコンの前に座ってマウスを動かしているだけ、みたいな。
個人的には早く今の状況は終わってほしいわ。多くの人が私に電話してくるから(笑)ほんと迷惑。
―ポーランドでは心理カウンセラーを頼るとかしないの?
ポーランドでは、心理カウンセラーに相談するということが一般的ではなかったから、まだそこまで多くの人がしていることではないわ。
ただ、コロナの影響で、もっと利用する人が増えて来ていて、「恥ずべきことではない」という風潮にはなってきてはいるわ。
オンラインでのカウンセリングは今回の影響で流行り始めた感じ。
―カットは2月に初めての仕事に就いて1ヶ月くらいしか経ってないのにWork from Homeになっちゃったじゃない?何も不安はなかった?
誰も横について手取り足取り教えてくれる状況ではなかったはずだけど、どうやって仕事してたの?
それについてはラッキーだったと言うしかないわね。
会社の皆がと~っても我慢強くて、理解のある人たちばかりだったから、助けられたわ。
あと、オンラインでのコミュニュケーションはコロナが流行る前から使われていたんだけど、Work from Homeになってからはより増して使われるようになって、同僚や上司とのやり取りは全部そこで行われた。
だから仕事を学ぶことに関しては全く問題なかったし、むしろ今はホームオフィスが好きすぎてこのままがいいとさえ思ってる(笑)
ホームオフィスに関しては、効率が悪いなんて声もあるけど、実は調査によってそんなことはないって証明されてるんだよね。
▶参考外部記事:
・Remote Workers Are More Productive - Business News Daily
・To Raise Productivity, Let More Employees Work from Home - Harvard Business Review
・It's more productive to work from home - Financial Review
―人によるかもしれないけど、子どもいる家でなければ、生産性は変わらないか、むしろ上がるよ。
会社のオフィスにいたら人に話しかけられたり、業務上の電話に時間を取られたりするから。
その通り!
オフィスへ行くこととの大きな違いは、移動時間を無駄にしなくていいし、仕事に必要なものが手元にあるから、好きな時間に仕事ができることね。
調子がいい時に沢山仕事をするとか、自分で調節できると調節し、週末とか気にしなくていい!
―今までだって人類は色んな革命を経験してきたから、今回の件もそれの一環だね。
そう、革命ね!New Normalね。
最後に
私が言うのもなんですが、ポーランドは人口100,000人当たりの感染者数も死者数もヨーロッパの中では割と優秀な方に位置しています。
▶参考にした統計:
・WHO Regional Office for Europe ポーランド共和国のページ:https://www.euro.who.int/en/countries/poland
いつまでも今の制限の多い状態が続くわけではないので、ヨーロッパへの渡航がもっと気軽にできるようになれば、ポーランドへ是非行ってみてくださいね!
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