- 韓国の学歴社会について知りたい人
- 韓国の新卒雇用状況について知りたい人
- 韓国の若者の意見を聞いてみたい人
こんにちは、Ayakaです。
クリスマスシーズンがやってきておりますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今回は、全然クリスマスと関係ない、というかむしろ反対の暗い?トピックですが、学歴社会について、韓国人の友人にインタビューしてみました。
まず、韓国の学歴社会について学生の生のの声を聞いてみたくなったきっかけとして、こちらの韓国の就職は学歴スペック重視、流行語で知る熾烈な事情。という記事を読んだことが始まりです。
韓国が日本以上の学歴社会だと聞いていたことはありましたが、友人たちに実際に話を聞いてみたことはありませんでした。
また、私事ですが、もともとアメリカの大学事情に非常に興味がありました。
Ivy League vs Community College: Which Education Is Better?
ユーチューブでたまたま上の動画を見つけ、アメリカ人の議論を聞いた後、韓国の学歴事情は、アメリカや日本とどれくらい違うのだろう・一緒なのだろう、と疑問が沸きました。
今回インタビューに応じてくれたのは、上記の記事にも書いてあるSKY(ソウルにある三大名門大学の通称)のうちの一校に通う韓国人大学生Aです。
Aはネイティブより綺麗な日本語を遣うほど、日本語が堪能なので、この記事を前にシェアして読んでもらっています。
Aはこの記事はリサーチがしっかりされており、近年の韓国の事情がよく分かると誉めていたので、今回のインタビュー記事と共に読んでみると、最近の韓国社会についての知識がより深まるのではないかと思います。オススメです!
それではレッツゴー!
幼少期から高校卒業まで
皆さんまず、こちら▼の10秒ほどの動画をご覧ください。
A typical day in a South Korean student's high school life...Ouch!
ーこれは韓国の高校生の生活を端的に表した動画の内容らしいんだけど、これはどれくらい 本当なの?
起きてからごはん食べる時以外ずーっと勉強して、寝て、起きて、みたいな生活だった?
少し誇張があると思うよ。
韓国の学生が勉強を頑張るということ自体は事実なんだけど、だからと言って、朝から夜まで勉強しかしない訳ではないんだよね。
でも、他の国に比べて、受験のプレッシャーは結構強いから、それをメディアとかで描写することはある。
ただ、実際に動画のような“過度な”生活をする人は多くはないね。
ー1日くらいはこういう動画のような日があったとしても、365日ずっとこうってわけではないのかな?
そうだね。休む時は休んで、遊ぶ時は遊んでいるけど、プレッシャーが強いのは事実だね。普通はここまで勉強しかしてないわけではないね。
ーまぁメディアも誇張しないと面白くない・インパクトに欠けるから、こういう手の動画もあるのかな。
そうだろうね。
ーAは幼少期(小学校に入る前)から塾に行ったり・行かされたりした?周りはどうだった?一般的にはどのくらいの人が習い事や塾に行くのかな?
それは、地域によって差があると思う。
自分は大学へ行くまでソウルに住んでいなかったから、教育に対する熱が都心とは違ったと思うな。
ソウルの中でも、良い学校が集まっている地域があって、そこは、幼少期から競争が激しいんだよね。
韓国には、高校から科学や言語を専門的に勉強する特殊な高校がいくつかあって、その高校に行けば、良い大学に入りやすくなるというルートがあったんだよね。
ー「あった」ってことは過去形?
うん。5年後頃からはそのルートはもう無くなるらしい。
今の政府の政策で、そういった特殊な高校を廃止することが決められたんだよね。
自分の時代は、勉強を頑張る人たちの中では、そういった特殊な高校に入る為の競争が激しかったよ。
まぁ、そういう競争でなくても、自分は中学校くらいから地元の塾に通ってたね。
統計などを見た訳ではないからどこまでが事実か定かではないけど、高校や大学のブランドをすごく気にする家庭や、富裕層の中には、地方からでもソウルの塾に週末通わせる場合があるという話を耳にしたことがあるよ。
ーでもさ、何の為にそんなに必死に頑張るの?お金持ちになるため?韓国の雇用状況が近年厳しいから?勉強した後の先の将来像をどう描いているのかな?
難しい質問だね。
韓国の社会では、良い大学へ入れば、その後の人生が少し楽になるという認識が強いと思う。
ー日本もそうだね。
だから、高校まで頑張って、大学に入れば、自分のしたいことができる!高校卒業まではしっかり頑張らなければならない!というプレッシャーはこの考えに起因してると思う。
医者や弁護士など、特定の分野を目指して勉強する人がいるのはいるよ。
でも、そういった定まった目標が無くても、とりあえず勉強をしておくと、後々学歴がより多くのチャンスを自分に与えてくれるという、漠然とした考えが社会に浸透していると思う。
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韓国の職場環境
ー日本では、近年「働き方改革」などが叫ばれるようになって、政府や大企業主体で働き方を考え直そうという動きが一応あるんだけど、これについて韓国ではどう?
「学歴社会は正しくない」とか「良い大学に行くことが幸福に繋がるとは限らない」という訴えは昔からあるよ。
でもまぁ、一度社会に根付いた認識はなかなか変わらないよね。
ーじゃあ韓国では、良い大学に入って良い企業に入ってお金を稼いで幸せになる、っていう考えがスタンダード?
そうだね。
ー韓国で学生に人気の就職先や職業は?
銀行、金融関係、そして医者だね。
理系では医者、文系では銀行員や弁護士が“良い”と学生が考えてるよ。
ーフリーランスという働き方はより多くの人に検討され始めてる?
職業や分野によるけど、全体的に言うと増えてきてると思うよ。フリーランサーが多いって訳ではないけどね。
韓国では、職場で上の指示に従うことが絶対的なんだけど、そういったことが嫌な人はフリーランスとして働くことを考えると思う。
ー日本も、韓国みたいに、上下関係の激しい社会だから、上の言ったことを、間違っていると思っていても聞かないといけないことが多くて、それがパワハラに繋がったり、ストレスの原因になったりしてるんだよね。
あと、日本語の過労死という言葉がそのままkaroshiと世界的に知られるほど、働きすぎが問題でもあるの。韓国では過労死するまで、自分を追い込んでしまう働き方をする人は多い?
さすがに、過労“死”まではいかないかな。過労はあるよ。幸い、周りで過労死した件を聞いたことはないね。
それでも、ストレスが強いのは事実だよ。残業が多いしね。
こういう働き方が良くないという認識が人々の間に広まってきてるけど、何十年もこんな社会だから、簡単に変わらないよね。
ー上が変わらないと、下も変わらないしね。
そうだね。
ー過労死まではいかなくても、パワハラのせいでうつ病とか、心の病気になったりすることはある?
まだ社会に出て働いたことがないから正確には分からないなぁ。
多くの人が「ストレス、ストレス」と言うけれど、うつ病や過労死が社会問題にまではなっていないかなぁ。
ー日本よりは“マシ”かな?
う~ん、正式に働いたことがないからまだ断言はできないな。
働き出したら、今の見方が変わるかもしれない。
今のところ、自分の周りでうつ病や過労死が大問題だと聞いたことはないね。
学歴が高いと嫌な思いをする!?
ーAはSKYの一校に通ってるけど、自分の学校名のおかげで良い思いをしたこと、反対に嫌な思いをした経験はある?
あんまり、自分がSKY出身だとは言わないな。
自分がSKYに通っていることを告げると、周りからそういう視線があるから・・・。賢そうとか・・・。
そういう認識があまり好きではないんだよね。負担だと言えば負担だし。
周りの期待値が高くて、業務とかで少しでもミスをすると、「あなたSKYの生徒なのにこんなこともできないんだ」と言われた、という話を聞いたことがあるよ。
あと、自分からSKYの生徒であることを伝えると、自慢していると捉えられることがあるね。
全然、自慢する意図で言ったわけではなくても、人によっては威張っているように捉えることがあるから。
ー自分は単に自己紹介として言ったつもりでもってこと?
うん、そうそう。
自分の周りに聞いてみても、同じようなことを聞くから、あまり学校の話をしたくないんだよね。
日本でも、東大生とかは同じような経験があると思う。
ー学校名だけじゃなくて、学んでいることや、している活動を、もっと評価する雰囲気ができれば良いのにね。
そうだね。
だから、最近は学校名を言わずに、専攻だけを言うと、偏見が無くなるかなと思って、自分の専攻や勉強している分野だけ伝えることがあるよ。
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雇用状況と不安な?学生たち
ー韓国では、雇用状況、特に新卒の雇用状況が厳しいという情報が多いのだけど、やっぱりこれから就職を控える身として不安はある?
めっちゃあります(笑)
ー周りもそんな感じ?友だちとそういう話する?
するする!周りも不安に思っている人が多いよ。
ー韓国内の雇用状況はあまり良くないから、海外での就職を目指そうとする人もいる?
そうだね。
でも、実際に海外で働けるか、は別問題だよね。
まず、言語も問題があるね。
あと、他の社会に外国人として入って、働くためには、その国の人より優れた何かが無ければならないよね。
ただ、やる人はやる。
個人的には今のところ、大学卒業後すぐ海外で働くことは考えてないけどね。
ーキャリアを積んだ上で、海外に出ることはあるかもしれないけどね?
うん、そうだね。
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大学院へ進む意味
ー韓国での雇用率は高くない、海外で働くのも難しい、となると、大学院を目指す人は増えるの?
そうかもしれない。博士号を取る人が多くなったね。
でも、博士号やそれ以上を取っても、そんなにメリットが無いということも聞くね。
就職できなかったから院に進む人もいるみたいだし。
就職事情とインターンシップ
ー卒業してすぐ就職するには、基本的にどんな過程を経るの?
日本のように、就職時期が正確に決まっているわけではないけど、多くの企業が募集をかける期間はあるよ。
でも、まずは、インターンシップからスタートする人が多いね。
卒業前、例えば3年生の2学期に休学して、1学期中インターンシップに専念するとかね。
最近は、インターンシップの経験が無いと、すぐに就職するのは難しいって感じになっちゃったね。
ー厳しいね~。
休学せずに、インターンシップをする場合は、少し違う方法を選ぶことがあるね。
というのも、4年生を終了しても、書類上で卒業はせず、大学生という身分を残したままインターンシップをした方が、インターン経験がない状態で完全に卒業してしまうより、雇用主側に良い印象を与えることができるからね。
ーその方が“見栄えが良い”からね。
インターンは、大学生という身分でいた方が良いという認識が浸透してるね。
ただし、懸念は、「〇〇をすれば◇◇に繋がる」というような&障が無い&ら、不安になるし、不安になるから、他の人が行くルートを通るのが安全なように思ってしまうことだね。
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ー雇用についてもう1点。日本では、特にブルーカラーの人材不足が、海外からの労働者の受け入れ(依存)に繋がっているんだけど、韓国では海外からの労働者はあまりいない?
そうだね、韓国が、海外からの労働者を積極的に受け入れているって話は聞いたことないな。
自分は、日本の状況もチェックしてて、教育熱心な部分や勉強の厳しさやなど、韓国との社会の共通点は沢山あると思ってたけど、就職の状況に関しては、最近の日本はちょっと違うな~と思ったな。
ーこれは私の見解だけど、韓国の少子高齢化がかなり進んでるとはいえ、経済状況の不安定さと雇用率の停滞が、少子高齢化よりも深刻なんだと思う。
だから人が減ってるはずなのに、職が無いっていう状況に陥ってると思ったんだけど・・・。
そうだね。
経済状況が良ければ、もっと人を雇うことが可能になるんだろうけど、もうそういう時代が終わったから。
韓国は、1980年代頃は経済状況が良くて、雇用状況も良かったから、大学を卒業すれば就職の心配はしなくてよかったんだけど、97年に経済危機が起こって、そこから停滞気味がずっと続いている感じだね。
ーあまり経済状況が復活してないのかな?
経済危機以降の一番最悪な時期からは抜け出したんだけど、その後著しく経済が好転的になってはいないね。
少子高齢化も経済状況に起因してるし。
社会は厳しいね
ーヒットした本『82年生まれ、キム・ジヨン』もそうだけど、韓国では慰安婦問題や芸能人のレイプ事件など、女性の権利に関する話題が絶えないけど、働く女性の環境に関して変化は起こってきてる?
少しずつ変わっていくと思う。
ーまだ変わってはないけど、これから変わっていきそうってこと?
もちろん、完全に変わったとは言えないけど、少しずつ変わってるかな?って感じだね。
数年前と比べると、こういった問題が話題になったこと自体に意味があるね。
以前と比べると、社会的にセクハラなどを意識するようになったことが大きな変化だね。
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ー前は、問題だとすら思わなかったし、問題だと思ってても口に出さなかったのかな?
そうだね。だから、これから状況は良くなっていくと思う!
ー何か言っときたいこと、言い忘れたことはある?
韓国、厳しいっすね~(笑)
自分が属してる社会なんだけど、時々なんだか自分の居場所ではないように感じることがあるよ。
自分たちの世代は勤務環境に関して話をすることがあるんだけど、ワーク&ライフバランスの意識が高まっていることをすごく感じるね。
給料が少し低くても、休み時間があった方がいいと考える人が、少なくとも自分の周りには多いよ。
あと、フェミニズムも含めて、新しい価値観が社会に知られてきているから、自分の世代が社会に出た時は、今とは違う働き方になるかもしれないよね。
分かんないけどね(笑)
厳しい、厳しい(笑)
最後に
記事内容は、ブログの著者である私とインタビューに応じてくれている人物の独断と偏見に基づいた内容なので、必ずしも韓国の世論を反映できているわけではないことをご了承くださいね。
個人的には、出稼ぎ労働者を多く受け入れ始めている日本と、まだそうしてはいない韓国が、今後どのように変化していくのか、興味深いです。
日本は自分の国なのに何故か遠くからの目線ですが・・・。
もちろん学歴はあったに越したことはないですが、学歴よりも、
その人が経験してきたこと、机に向かってする勉強以外で努力してきたこと、学んでいることでも、もっと人を評価できるようになればいいのにな、と思います。
ただ、少なくとも個人的には、日本が韓国やアメリカほどの学歴社会だと感じたことはありません。
The Unspoken Reality Behind the Harvard Gates | Alex Chang | TEDxSHSID
また、”Harvard is Hard”に目を奪われ、上のTed▲を観ました。
スピーカーの彼は、ハーバードの友人が何の音沙汰もなく、突如自殺してしまった話をしています(ネタばれすみません)。
もしかすると、東大生(だけでなくと)の中にも、周りからは、上手くいっているように見えていても、心の中ではかなりの葛藤がある人が少なからずいるのかな、と思いました。
皆さんはどうですか?
大学を出なくても、ましてや高校に進学しなくても、お金持ちになれる方法はいくらでもあるので、一部の“進んだ”考えの人には学歴はもう関係ないのかもしれませんね。
そもそもお金持ちになることの意味が問われていますし、金銭的に裕福=幸せ、とは限らないのは周知の事実だと思います。
韓国がこのまま学歴社会であり続けようとそうでなかろうと、韓国の皆さんが楽しく人生を送れることを祈っています。(私何様!?笑)
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